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「…どう、したんだよ…」
言いながら、目をそらしてしまった。
…だって。
なんだ、これ。
なんだよ、これ。
陽大が、楓を好きなんじゃないかという推測を立てたのは、中学一年の時だった。
葉月と俺と陽大とで飯を食ってると、陽大が初めて女の子の名前を口に出した。
それが楓だった。
それからちょくちょく楓の話題が陽大の口から上った。
逆に言えば、楓の話題しか上らなかった。
陽大はそもそも、三人で話しているとき大して自分の話をしない。
だから、自分の話を振ってきたときは貴重で、かつ俺と葉月にとっては食いつくべき所だった。
陽大は、楓が好きだとかそういうことは言わなかったし、俺と葉月も聞かなかったけど、多分そうだろうなとは思っていた。
だから、高校で会ったときは驚いた。
――あぁ、この子なのかって。
多分、葉月も同じ気持ちだったはず。
そして、陽大だからきっと、ずっと恋愛の話を俺に振ってきたりはしないだろうとそう思っていた。
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