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脱いだ靴を 慌てて履きなおして、外に出た。 入り口にある、 部屋番号の書かれたプレートを、もう一度確認する。 間違いない! 俺の部屋だ…… 慶太は頭を振ってもう一度、部屋に入った。 玄関でまた立ち竦む。 今日は俺、 確かに飲んでるけど、 自分がわからなくなる程なんて、飲んでない。 落ち着け…… きっと、なんかあったんだ。 何かって…… いったいなんだ? ほろ酔い気分だった自分に、冷静になれと言い聞かす。 ひょっとしたら、 おふくろに何かあったのか? いや! それならバイト先に、兄貴達から連絡が入るはず… 携帯をポケットから出して、着歴を確認してみた。 合コンの時間確認で、かかってきた明からの電話。 それが着歴の最後。 しかも…… もし、おふくろになんかあったとしたって 俺に断りもなく、 勝手に部屋の家具を変えるなんて事、するはずもない。 今朝、確かにいつもと変わらない時間に家を出た。 ちゃんと鍵、閉めたよな俺…… 朝起きてから、家を出るまでの、自分の行動を 思い起こす。 心当たりなんてない。 至って普通だった。 俺がいない間に、何かがあった…… 頭の中を、 ぐるぐると忙しく駆けめぐらす。 きっと、なんかあったんだ…… 靴を、もう一度脱ぎながら慶太は自分に言い聞かせた。 とりあえず、中に入らなきゃ。 このまま、立ち止まっていても仕方ない。 意を決して慶太は部屋に入った。
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