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月君は、長いシルバーのロングピアスをチラつかせながら教室の中へ入ってきた。
……その制服は明らかに着崩している。
そして月君の後ろには、茶色の髪の毛をポニーテールに結んでる小さな可愛らしい女の子の姿が……。
頬を赤くしながら、月君のシャツの袖を軽く押さえている。
「あなたは?」
私は気になり女の子に声をかけてみた。
「あ……高梨奈央。このクラスです! あなたこそ誰ですか?」
と言った彼女は、別にぶりっ子口調で喋ってる訳でもないのに何か鼻につく声だった。
「私は今日から教育実習生としてやって来ました、沢村優陽です」
「そういえばうちの担任が、昨日そんな事を言ってましたネ!」
と言って可愛らしく舌を出す高梨さん。
そんな高梨さんを振り切って、一番後ろの席へ歩みを進める月君。
椅子を引くと、すぐに眠りの体勢に入った。
確かに目が合ったと思ったんだけど、彼は私に気がつかなかったのだろうか。
それよりも、この子とどういう関係なの?
……ものすごく気になる。
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