Recipe.03

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  「甘い」 笑顔の孝博に、妙な感覚が自分を襲う。 「だろーな」 「ま、食べてみねぇと解らなかったりするけど、」 「は??」 「食べてみたくは、無んねぇの?」 孝博の言葉の意味を理解して、心臓が一つ大きく脈打つ。 「孝博、お前なぁ、」 「お似合いだと思うけどな?公隆とはる」 「まぁ、昔っから、よくじゃれ合ってたしなぁ。二人」 「公隆。女子の中でも、一番、はるの事可愛がってたし」 次々に言われる孝博と慎の言葉に、用意する言葉が追い付かない。 思考も。 「だぁぁぁっ!るっさい、黙れ」 「お前がうるさいよ」 「近所迷惑になるぞ」 ……殴っていいか?をい。 「俺とはるは友達!そんな一線越える気ねぇのっっ!!」 そう言い切ったのに。 「先刻、友達かオンナなのか見失うって言ったけどな?」 「うっさい!黙れ」 違う。 俺、今、無駄に自分を追い詰めてないか?? 余計な何かを、ただただ煽ってる気がする。 「つまり、はるをオンナだと意識はするけど、そこに恋愛感情は無いって事か?」 「あ??」 「だから、困ってるとかな訳じゃねぇの?」 困ってる、のか?俺。 何に?? 「ダメだ。頭がアルコールだ」 「素直になれば楽になるぞー」 「どこの悪代官だよ!!」 あー。 もう本当、俺、どーしたんだろ? 「はるは、友達なんだよ」 「解ってるって」 今迄、一度だって、ソレ以外の感情で見た事なんて無かった。 「だから、違うだろ?」 「何が?」 「はるが、オンナに見えるって、……何か、それだけで汚した気分になる」 「ヤってもないのに?」 「だから、ヤったらダメだろ!?そこは違うだろ!」 オンナを見てる時点で、築いてきた友情への裏切りな気がする。 「何で?」 「友達だぞ!」 「でも、オンナなんだろ?」 「だから!……友達にオンナ見ちゃダメだろぉが」 そーゆー関係でもないのに、オンナに見えるって、そんなのダメだろ? 「そこは男なんだから、仕様がないだろ?」 「男って事で誤魔化すな!男である前に人間だ」 「公隆は、そゆとこ、面倒っちゅうか律儀っちゅうか、真面目だよなぁ」 俺には、お前らの思考の方が理解できねぇよ。 大事なんだって。 アイツを泣かせたくないんだって。 アイツにとって、俺は大事な友達だ。 俺が、それ以外の感情を抱けば、俺がアイツから「俺」を奪うんだ。  
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