【右腕の男】

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扉から現れた蘭花の姿に思わず見入ってしまう。 何て言うか…。 きっと本人は隠してるつもりだろうが、含み笑いが恐ろしい。 現に取締役達が退いている。 あのオーラにあの表情。 退くよな。 時間を聞かれ答えたと同時に蘭花の表情が暗闇を見つめ変わった。 来たか。 そちらを見ると、やはりストリートファイト集団が歩いて向かってきた。 大和と話をして、いよいよ蘭花のリベンジが始まる。 少し広い場所へと移動し、取締役達とストリートファイト集団が二人を取り囲む様に立っている。 二人が構えたのを見て、その場の全員が息を飲むのが分かった。 ニヤリと笑う蘭花。 口角を上げ睨む大和。 いよいよだな。 蘭花が言っていた様に大和は素早い動きで蘭花の攻撃を避けている。 大和からの攻撃に蘭花も何とか避けたりガードしたりと応戦している。 少し押されている様にも見える。 ……大丈夫か? 俺の心配を他所に、蘭花の動きが変わった。 今までボクシングで闘っていたが、ここに来て格闘技も取り入れ出した。 まぁ。元々が総合格闘技だから、本来ならばこれが蘭花の闘い方。 それに、今回はプラスしてボクシングの動きを取り入れている。 回し蹴りや飛び蹴りを繰り出す蘭花の動きが大和の動きを押さえ込んでいっている。 煽る蘭花にムキになりだした大和の拳は、怒りに満ちてばらついて来た。 以前の蘭花の闘いに戻っている。 冷静さを崩さず、相手を挑発して怒りを煽る。 怒りだけで向かってくる相手を潰すのは簡単な事。 隙を狙って確実に殺る。 目の前で繰り広げられている闘いが、今正にそれで。 少しの隙をついた蘭花が大和の鳩尾に思いっきり叩き込んだ。 倒れはしないものの両膝をついた大和の前に立ち、とどめの一撃。 両肩を掴み上げ上を向かせた大和の顎に下から膝をめり込ませた。 ガクッと項垂れた大和。 手を離し倒れた大和を息をきらしながらもニヤリと見つめる蘭花。 名前を呼ばれ走って蘭花の所へ向かえば、大和を倉庫内に運ぶように指示をされた。 残りのストリートファイト集団も後で中に連れてこいと。 返事をして特攻服を手渡した。 気絶した大和を見て思う。 怒らせた相手が悪かったな。 一番キレさせたら止められねぇ奴だ。 御愁傷様。 取締役達に指示をして倉庫内の二階の部屋に大和を運ばせた。 呆然としているストリートファイト集団。 そいつらの所へ行き声をかける。
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