第4章 面影

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「………近すぎやあらしまへんか?」 「そう?」 いやいや、明らかに普通の距離じゃありませんよ。 部屋に入るなり私との距離を詰めようとする藤堂さん。 これはおそらく……。 「こんなところにいたのか、琴葉……否、雛ちゃん」 やっぱり。 どういう経緯でそれを知ったのかはわからないけれど、兎に角すでに誤魔化せないところまできていることはわかった。 「……そら、誰どすか?」 こうなったら白を切るしかない。 「知らねえのか? 自分の事なのに」 「雛なんて人、うちは知りまへん。 そないにうちと似てはるんどすか?」 私が答えると、少し考える仕草をした藤堂さんは言った。 「うーん……顔は似てると思うけど、声は似てねえな」 「……そんならただ似とるだけやないんどすか? 似とる人ん一人やニ人くらいならどっかにおると思うんやけど」 「ふうん。 ……じゃあさ」 ニヤリ笑いを一掃深めた藤堂さんは懐からあるものを取り出した。
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