第十五話『会話』

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次の日、俺は自分の部屋でボーっとしていた、正明は午前の授業は終わっている頃だろう。 つまり昼休みだ。 俺は食堂に行くかどうか悩んでいる。 正明に掛けてやる言葉はきっと正明には辛い選択だ、でも初めから正明は勇者として選ばれ国の状況を理解しているはず、これで勇者として何もしない選択をしたらそれは思考停止に繋がる。 現実をきちんと理解させる必要がある、正明が自分で決めないといけない問題だが、自暴自棄になってた場合は親友である俺がやはり何とかしないといけないのだろう。 「はー、どうするか。こんなに悩むはめになるとは思わなかった。喧嘩別れってのも俺としては嫌だしな……」 俺はもやもやとした気持ちでベッドの上に座って、頭を掻きむしりながら考えている、何が正明にとっていいことなのかと。 正明の言うとおりに俺が魔王を倒したとしよう、それでは正明は魔族を悪とした認識で終わってしまう。 俺は正明に本当のことを理解して欲しい、文字は違っても言葉は共通語だから理解することができる、だから魔族を魔族と思わないで、人間として接して、正明が人間と魔族の橋渡しになって欲しい、それが俺の思いだ。 簡単にそれができるとは思わないが、正明にはどうしても成功させて欲しい。 勇者って肩書を利用してなんぼだと俺は思ってるしな。
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