唇の距離 #2

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絡み合う視線に、想いを込めた。 当て付けでも演技でもない、 本当のキスがほしいと。 頬を包む彼の手のひらの温かさに ゆっくりと目蓋を閉じる。 彼の顔が近づき、 唇に彼の息を感じた。 でも、不意に彼は動きを止めた。 目をあけると、 彼の表情が微かに揺れていた。 いつもの強気な表情の下に、 どこか弱さを孕んだような、 見たことのない色を浮かべて。 彼の表情から何かを読み取ろうと ただ見つめる。 「……泣いてたよな」 そう一言、彼が呟いた。
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