第一話 妹の異変

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これが、俺の妹。 朝起こしに来てくれるわけでなければ、「お兄ちゃん」やら「兄ちゃん」やら「兄さん」やら「兄様」やら「おにぃ」やら「にぃに」なんて呼んでくれるわけでもない。 キモオタ呼ばわりの上に後ろから足蹴にされる始末。 世間にゃ「妹萌え」なんて言葉があるそうだが、こいつのどこに萌える要素があるのだろうか。 (俺に対してだけ)口が悪く、(俺に対してだけ)愛想がなく、(俺に対してだけ)常に不機嫌そうな顔をしている妹を大切に愛でられるほど、俺はできたお兄ちゃんではないのだ。 であるからして、俺はこれ以上妹とコミュニケーションをとることを諦めた。 しょうがない。 最後に交わした言葉が何だったかなんて、どうせあいつは覚えてないのだから、気にする必要もないだろう。 「一歌、最近よく部屋に居るみたいやな?何しとんの?」 俺と一歌が席に着き、軽く手を合わせてから箸を構えた辺りで、おとんは年頃の娘への配慮なんて一切頭にない質問を投げかけた。 あれ?一歌って最近部屋にいることが多かったのか。 いつもリビングにいるイメージだったが、言われてみればここ一週間以上、食事の時以外一歌を見かけていない気もするな。
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