第2話

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「……それは、どうも」 まさか羽山からそんな言葉が出るとは思わず、なんだか視線が落ち着かない。 「先輩は?彼氏、いるんですか?」 「ううん」 「居ても長く続かないタイプ?」 「……うん」 「だと思いました」 …………。 「羽山、私の事先輩だと思ってないでしょ?」 「そんな事ないですよ。先輩って呼んでるの先輩だけですよ?」 「……」 私の方が年上の筈なのに(1歳だけだけど)なんか下に見られてる感じがする。 「それに、続かない理由が分かるから」 羽山はそう言ってから綺麗な指先で瑠璃色のお猪口を持ち、日本酒を飲んだ。 その仕草がとてもゆったりしていて品がある。 育ちがいいのかな……。 「先輩、恋人とキスとか普通に出来ます?」 羽山の手の動きに視線を奪われていると急にそう言った。 切れ長の瞳が淀み無い視線を向ける。 「……」 「一瞬引いて見ちゃいません?」 頬杖をしたまま視線を逸らさない羽山は私に問う。 「口紅とかグロスとかはもちろんの事ですけど」 「言いたい事は、分かるよ」 私は皆迄言うなという様に掌を羽山に見せた。 「先輩って指細いですね」 私の手を見つめて羽山が右手を伸ばした。 「…………」 「先輩ちゃんと食べてます?手首細くないですか?」
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