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望月の誓い。
「はじめくん、綺麗だね」
「俺がか?」
「違うよ。はじめくんが綺麗でどうするの。あの月のことだよ」
ああ、そっちか。
そう得心すると、君は闇夜に佇む、まあるい月を指でさして、こう言った。
「あの月はわたしで、その周りを囲む闇夜は、はじめくん。
わたしにはそう思えて仕方ないんだ。なんでだろうね」
隣でその月を見上げながら呟いた君。
その小さな花が開くように微笑む横顔は、俺にとっては手が届きそうで届かない。
「はじめくん?」
今の俺にはただ、見つめることしか出来なかった。
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