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「もしもし」 受話ボタンを押し、携帯を耳に当てる。 「あ、もしもし、ルナちゃん? いやー遅れて申し訳ないね。今やっと終わったとこなんだけど、もう店に入ってるかな」 雑踏のような周囲の雑音に紛れながら、浅井さんが申し訳無さそうな声でそう言う。 「指定のお店にもう着いて、中で待ってますよ。なんだか高そうなお店ですね」 案内された座敷の個室を見回しながら、電話の向こうの浅井さんに返答する。 向かいに座った舞も、手持ち無沙汰といった様子で、きょろきょろと座敷を見回している。 浅井さんには悪いけれど、マッコリでも頼んで、先に一杯やっていようか、ぐらいの心持ちすらある。
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