序章 オワリノハジマリ

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私の名前は…名乗れない… いや、誰の名前であっても口には出せない… ここでは、人の名前を呼ぶ事が出来ないのだ。 もし名前を呼んでしまえば、その呼ばれた人は罰を受ける。 例えそれが、自分の名前でも… 罰は生易しいものじゃない。 与えられる罰は"気まぐれ"で、一生背負う傷であったり、不治の病であったり… もしくは、死であったり… 罰は不自然なく与えられる。 事故や殺人などとして。 当然、それによって関係無い人まで、命を落とす事もあるのだろう。 それでも、罰さえ与えられるのなら、手段は選ばないみたいだ。 もう、これは罰と言って良いのか判らない程の、残酷なもの… それを与えるのは、誰もが崇め奉っていたあの存在…"カミサマ"だ… その"カミサマ"が何の為に、こんな事をするのか解らない。 人にとって、些細ながらも重要な出来事を束縛するなんて… そして、名前が言えないという事の他に、不確定な事象がもう1つある。 それは、希望とは呼べない希望。 血塗られた希望。
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