第1話

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今日も僕の1つ前の席には誰も座っていない。 そして、僕の1つ前に呼ばれる名前に返事をする人はいない。 彼女がここにいないのに先生は何も言わないし、クラスメイト達も何も言わない。 この教室内では彼女がいない事が日常になっているのかもしれない。 僕はそう思った。 だけど、日常というものは突然崩れるものなのかもしれない。 その出来事は僕の名前がもうすぐ呼ばれるという時に起きた。 担任の声だけが聞こえる教室内に突然ドアを開ける音が響いた。 日常では有り得ない音に、そこにいた全員が視線を向ける。 向けた視線の先に立っていたのは、見慣れない女の子だった。 彼女が教室に入ってきたことで流れる沈黙の時間。 数十秒ほど続いたその沈黙を破ったのは少し困ったような表情の担任だった。
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