プロローグ

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神は残酷なのかも知れない。少年はそう思った。与えられる者には与えられ奪われる者は奪われる。当たり前のようで残酷な世界で少年は笑っていた。少年は全て失った。想い人も家族も友人も。少年 レン・ハザクラ10歳の誕生日のことだった。レン少年は何時もと変わらない日常を過ごしていた。彼は魔法が使えなかった。この世界に置いて魔法とは生命線であり、同時に地位でもある。つまり、魔法が使えないという事は暴虐を受ける原因にすらなりえる。だが、彼はそれでも幸せだった。支えてくれる家族が友が何より恋人がいたからだ。だが、それは奪われた。何処の誰かもわからない。だが、位の高い人物というのはわかっていた。その男が家に上級魔法を放ち燃やしたのだ。【位の高い者は低い者から奪っても罪にはならない。】捻曲がった歪な法律は少年から大事な者を奪っていった。幸いにもレン少年は外に出ていた。気分がほんの少し優れなかったのだ。それがその偶然がレン少年を救った。炎が消え、跡だけとなった家。その中に落ちていた灰を掴んで見つめる。これが家族の物なのかはたまた友人の物なのか、恋人の物なのかすらわからない。 レン「く、ククク。クハハハ!」 少年は高らかに笑った。涙は血に染まり、代わりに涙雨が少年を優しく濡らした。
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