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間にあるローテーブルが唯一の堤防。
「聖ちゃん」
「ハイッ」
「……」
挙手が似合うくらい、良い返事。
クスリと笑われて。
「おいで……聖」
バクンと鳴る心臓。
あぁ、やっぱり何年経っても慣れないな。ドキドキは減ってかない。
テーブルを挟んで伸びてくる先輩の手。
掬う様に私の顔を包む。
「……お兄ちゃんって、言ってごらん」
「なっ……」
「ほら、言って」
妖艶な口元がいたずらに上がる。
「お兄、ちゃんは……そんな妖しい言い方はしません」
たぶん。居ないから判らないけど。
「いいんだよ、今日のお兄ちゃんは酷いから」
「……」
「愉しみだな」
「何が、でしょう……」
ニッコリ笑みで近づく先輩。
「聖ちゃんが“お兄ちゃんヤメテ”“お兄ちゃん許して”後はそうだな“もっと、お兄ちゃん”てこれから言ってくれるなんて」
ボンと熱くなる、先輩を直視出来ない。
「言っ、言わない――」
「言わせるよ、もっと凄い台詞も」
さーっと今度は青くなる。
クランクランする頭のまま、気づけば寝室で。
「え、いつの間に」
「おいで……聖」
だけどこの言葉にはめちゃくちゃ弱い。
釣られてしまえば試練が待っていると判っていても。
「聖……」
甘い罠に堕ちたいと思う私は。
「……先輩」
「今日はお兄ちゃん」
「……」
もう、色んな癖がついて、どこにもいけません。
「次は教師とかどう、聖ちゃん」
――fin――
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