自転車

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「え?」 「水が増えてたのが悪いんだよ。兄ちゃん、悪くない」 そう言って剛は、にこりと笑う。 「でも、……」 「兄ちゃんは僕より強いから、泣いてちゃ駄目だよ。兄ちゃん泣いてたら、僕、心配で天国行けないよ」 「分かった。笑うから、強く居るから安心して天国へ行くんだぞ」 震える声で、将弥は言うと、満面の笑みで笑い返した。 「うん、それでいい。あ、悠、僕一つ思い出した事が有るんだ」 剛の声が薄れて消える。 悠が連れて行ったのだろう。
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