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景壱が鬼を見たのは、その日が初めてである。
店ではなく、真夜中の景壱の部屋に直接来たのだ。
丈夫そうな角が頭から生え、赤い顔で優に、二メートルは超えてる巨体である。服は着ておらず、虎柄のズボンらしきものを穿いている。
やっと幽霊に慣れた景壱も流石に驚きの声をあげた。
「そんなに騒がないで下せぇ。おらは、人なぞ食いやしねぇから」
ははは、と鬼は笑うが、やはり、怖いものは怖いのだ。狭い部屋で景壱は鬼から少し距離を取る。
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