死に至る声

2/77
2962人が本棚に入れています
本棚に追加
/369ページ
景壱が鬼を見たのは、その日が初めてである。 店ではなく、真夜中の景壱の部屋に直接来たのだ。 丈夫そうな角が頭から生え、赤い顔で優に、二メートルは超えてる巨体である。服は着ておらず、虎柄のズボンらしきものを穿いている。 やっと幽霊に慣れた景壱も流石に驚きの声をあげた。 「そんなに騒がないで下せぇ。おらは、人なぞ食いやしねぇから」 ははは、と鬼は笑うが、やはり、怖いものは怖いのだ。狭い部屋で景壱は鬼から少し距離を取る。
/369ページ

最初のコメントを投稿しよう!