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我、汝を従わん。
我、汝救わん。
我、汝試さん。
街には深い霧が覆っている。人の姿はなく、凍てつくような静けさがある。
街灯は灯っているが、どれも薄暗い。蛾が集まり、猥談に華を咲かせているだろう。
此処が新しい住み処となる街だ。予想以上に障気に満ちている。早いとこ対処しないといけないだろう。
「兄さん、ちょっといいかな?」
「なんだ弟よ」
「この街、既に手遅れなんじゃないかな?土地神の力も感じないし、そもそも人っ子一人いない」
「深夜だから出歩いていないだけだろう。土地神はこの障気で力を封じられているだけだ。まだ間に合うよ」
正直、俺の発言に確証はない。土地神は既に喰われ、悪霊になっている可能性もある。
土地神が悪霊化しないよう、対処するのが、俺達の仕事の一つでもある。
「そうならあいんだけどさ。あと、もう一ついいかな?」
「なんでも聞きたまえ弟よ」
「宿、どうするの?」
どうしようか。
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