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ある晴れた日の昼下がり。
藤堂慎一は、午後からの予定を告げるべく主である泰明の部屋の前へと訪れていた。
コンコンとノックしドアノブに手を掛けながら
(何故か嫌な予感がします)
フルリと悪寒に似た感覚を覚えつつもドアを開ける。
「…」
「……」
「………」
「言いたい事があるならさっさと言え」
「…何ですか?」
「何が?」
「……これは?」
「見れば分かるだろうが」
「………チョコレートの様ですね」
「だろうな」
部屋にはチョコレートの甘い香りが立ち込めている。
その部屋の真ん中にどこから運んで来たのか大きな調理台が置いてあり、その机の上にはチョコレートが山積みにされていた。
泰明はそこで銀色のボールをカチャカチャと回しながら、手元にある本に目を落としてる。
(…予感は的中と言う訳ですね)
フゥと小さく溜め息をこぼしつつ泰明の側へと歩を進めた。
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