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それは俺が6つのときだった。
当時、特に俳優業で忙しかった両親はほとんど家にはいなかった。
3つ上の兄貴は私立の小学校と塾の往復で、一緒に住んでいるのに朝食のときに顔をあわせるだけ。
毎朝車で送られていく姿を見送った。
幼稚園に通っていた俺は、すぐ近くだったこともあって、世話係をしてくれていたお手伝いさんに手を引かれて毎日幼稚園に通った。
長い髪をハーフアップにして、それほど化粧っけもなく優しくて若いお姉さん。
少し年の離れた姉くらいの気持ちだった。
おそらく彼女が俺の初恋。
両親がそばにいない寂しさを、彼女と遊ぶことで埋めた。
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