第一話 神の悪戯

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……良いや。思い出せねぇって事はそれだけの奴だって事だ。つーか、女子高生で知り合いとか居ないし それよりも下駄箱の方が先だな 「おい、ガングロタマゴ」 「それアタシに言ってんの!?」 「テメェ以外に誰がガングロタマゴに見えるんだよ?それよりさぁ~、俺の下駄箱に悪戯した奴知らね?」 「アァ?そんなのアタシに決まってんじゃん」 「うわ……まさかバラしてくるとは思わなかった」 こいつ分かってんのか?今から俺に半殺しにされるってのに 「ふん。そう言えばアンタ、さっき下駄箱に悪戯した奴は半殺しとか言ってたっけ?ギャハハハハッ!無理無理無理!根暗なアンタが、アタシを半殺しに出来るの?絶対に無理だって」 「おうおう、嘗めてくれるじゃねぇか?何なら、そこの戸みたいに吹っ飛ばして、テメェの中身ぶちまけてやろうか?ガングロタマゴ女!」 「嘗めてんのはそっちじゃん?3対1でどうするっての?」 「そーそー」 そう言うが早いか、ガングロタマゴの仲間であろう二人も睨んでくる 「ハッ!ガングロタマゴの腰巾着共が何人居ようが関係ねぇな?十人でも百人でも連れてきな?全員ブッ潰してやるからよぉ」 ピリピリと、教室が重い雰囲気に包まれた 久し振りの喧嘩だ。派手にやってやるぜ! そう思った時だった 「ダメだよ遥ちゃん!」 「……アァ?」 あの真面目そうな奴が、俺を止めに入ったのだ 「喧嘩なんてしちゃダメだよ!それに遥ちゃんは喧嘩苦手な筈じゃ……」 「心配すんな。直ぐに終わるって」 「そういう問題じゃないよ!お願いだから止めようよ?ね?」 「あぁもう、うるせぇなさっきから!こちとら殺る気満々なんだよ!邪魔すんな!」 「は、遥ちゃん……?」 「大体、お前誰なんだよホント!俺の事知ってるみたいだけどよぉ!」 「……えっ?」 そう言った瞬間、そいつはまるで絶望したかの様な顔をした な、なんだよあいつ…… 「嘘……だよね?私の事、知らないなんて嘘だよね?」 「アァ?知らねぇったら知らねぇ……」 そう言い掛けて、俺は言葉を止めた そうかこいつ……この身体の……遥のダチか!こいつは俺に言ってるんじゃない、遥に言ってるのか! 漸く気付いた俺だったが、後の祭りだった 「そんな……嘘だよ……そんなの……私達親友だったのに……中学からの親友だったのに!そんなの嘘だよ!」
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