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よっぽど、俺の言葉が信じられなかったんだろう。目尻に涙を溜めて、小刻みに震えている
「ギャハハハハッ!良かったじゃん!大切なお友達は、アンタの事忘れちゃったってさ!アーハッハッハッハッ!」
あのガングロタマゴ……余計な茶々入れやがって!
しっかし、どうする?本当の遥は死んじまって、代わりに35のゴロツキ男が乗り移ってます~とか言える訳ねぇし……アレで通すか
「あぁ~……えっと、悪い……実は事故の後遺症でさ、断片的な記憶喪失になっちまったんだ。だから、お前の事は憶えてない……」
「そんな……」
今にもガチ泣きしそうなそいつに、俺も参ってしまう
仕方ねぇとはいえ、流石にガキを泣かすのは気が引けちまうぜ……とにかく、何時までも真面目そうな奴とかじゃ悪いし、名前聞くか
「だからさ、名前……教えてくれよ?そうしたら思い出すかもしれねぇだろ?」
「……うん」
「ちょっと待ちなよ!?アタシらほっといて話を進めんじゃね……」
「うっせぇよクソビ〇チ。黙ってろ!……名前は?」
バカを黙らせ、そいつに向き直る俺
でも俺はまだ知らなかった。次にそいつの口から出た名前が、俺の第二の人生がどうなるのかを決定付ける物だという事に
「優美……私の名前は、立花優美。貴方と同じ苗字の……友達だよ」
「~~~~~~~~ッ!!?」
俺は目を見開き、そいつ……立花優美をよく見た
立花優美……だと!?こんな偶然があるのか!?同姓同名……いや、年齢的にも合ってるし、何か見覚えがある顔だと思った!
最後に会ったのが五年前だから分からなかったが、こいつは間違いねぇ!
優美は……こいつは“俺の娘”だ!
「……マジなのか?」
「えっ?」
「立花優美って名前は……マジなのか?」
「う、うん……」
小さく頷く優美に、俺は頭を抱えた
本当に神様は何がしてぇんだ?まさかこの俺の魂を、娘の親友の身体に乗り移つらせてよぉ。確かに俺は高校中退したけどさ?娘と一緒に学校やり直させてどうしようってんだか……
……いや、待てよ?そう言えばさっきあのガングロタマゴ、優美の髪の毛引っ張ってたな?つー事は、優美は虐められて……
「……プッ」
「プ?」
「アハハハハ……アーハッハッハッハッ!」
俺は全て理解出来た。そうしたら、笑いが込み上げてきて止まらなくなった
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