極甘バレンタイン

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「まったく、可愛いことしてくれる」 初めてのバレンタインの日を思い出して意識を持って行かれてた俺は、マグカップを取り上げられるまでセンセーが全部飲み干してくれたことに気がつかなくて。 俺のカップが置かれた横に、空のカップがあった。 カップを目で追っていたら顎を掴まれて上向かされる。 至近距離に見せる、切れ長の綺麗な目から眼鏡が外された。 薄情そうな唇が弧を描いていて。 ずくん、と下腹部に熱を感じた。 「何考えてた?」 「セン…」 「顔、赤い」 刹那に唇が重なる。 端から期待してだらしなく開いた唇に、すぐにぬるりと入り込んだものは我が物顔で俺の口内を蠢いた。 ホットチョコの甘さが残る、キス。 ――― ああ。俺、食われる。 そう思っただけで、腰が騒めいた。 少しだけ唇が離れて、目を開けると相変らず涼しげな目元が目の前にあり。 「朝っぱらから、欲情してたの?」 赤い頬を咎めるように、人差し指が頬を強く擦った。 「んなわけじゃっ…」 薄皮をくすぐるくらいの距離で話すから、その度びくびくと痙攣するのを抑えるように顎を掴んだ手に力が篭る。 「想い出すね、初めてのバレンタイン」 そう言って、また噛み付くみたいなキスをする。
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