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それぞれのゆく道
ー…この国は、着実に死へと向かっていた。
教皇率いる十字軍。その数およそ一万。
吸血鬼はこの国におよそ五百人存在していると言われている。十字軍よりも圧倒的に数が少ないが、吸血鬼は平均して人間十人を相手にしてもビクともしない。特に、真祖…吸血鬼の根源と言われている存在なんかは他の吸血鬼とは比べものにならない程強者だ。
しかし、吸血鬼には統一された軍隊がない。大きく、三つの勢力に分かれていた。
一つは真祖ガブリウェンド率いる「ガントレット」。吸血鬼の大半を支配していた。この集団は新しい国を創る、と革命を目指してはいるが実際の所人間に勝つために動いている集団だ。
もう一つが真祖カーミラ率いる「無名(ノーネーム)」の集団。率いる吸血鬼はたったの二人しかいない。しかし、ヴェアヴォルフという獣人族を味方につけているため戦力もやや高い。戦争には反対していて人間との共存を掲げている。
そして最後、この国を滅ぼすために動く過激派「リゴア」を統治していたのは……
エドモンド=ベルハルト、かつてアースアールの教会に勤めていた「元」神父だった…
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