紅の月

7/7
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
屋敷に来て、体を重ねても唇を重ねることは無かった。 初めて、ユウは成実の唇を貪ると笑った。 そして成実をゆっくり抱き締めると 「成実は暖かいな」 そう呟いた。 成実はそれだけで嬉しかった。 その夜から、2人の交わり方が変わった。 相変わらずユウの上に成実は乗ったが、動いては止めてユウを焦らす。 焦らすとユウが成実の名を呼ぶ。 成実は名を読んでほしくてユウを焦らした。 『今、ユウ様と繋がっているのは私…今だけはユウ様は私のモノ』 それを実感する為に成実は焦らす。 愛する人を振り向かせる為に。 今夜も成実はユウの上で焦らすのだった。 唇を紅に染めてユウを誘う。 そして切なく激しく腰を振り、そして穏やかに胸毛を弄び、また腰を振る。 言葉に出来ない思いを込めて、成実は腰を振るのだった。 『…ユウ様。今だけは私のユウ様…』 障子越しに魔界の月が2人を仄かに照らす。 その光が成実の白い肌を怪しくユウの目に映らせる。 成実の想いユウの想いが絡まり合い、体を絡ませる。 魔界の夜は、更に淫靡に更けていくのだった。 ━了━image=481045385.jpg
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!