まさか!?…兄妹!?

21/22
4135人が本棚に入れています
本棚に追加
/531ページ
16年前の春、儂はひとりの女と出会った。 高校を卒業し田舎から出てきたばかりのその女は、右も左もわからないこの街で行き倒れ寸前だった。 そんな女を放っておくこともできず、面倒見のいい桐生は仕事を世話し住むところまで見つけてやった。 いつしか彼女は桐生に想いを寄せ、そして、桐生も歳が娘ほども違う彼女を憎からず想うようになった。 惹かれあうそんなふたりの恋はある日、突然に終わりをつげた。 ―――彼女が姿を消したからだ。 どんなに手を尽くして捜してもみつからず、月日は過ぎていった。 「儂が彼女に再会したのは偶然だった」 見舞いに訪れた総合病院で、彼女の腕の中で生まれたばかりの赤ん坊が泣いていた。
/531ページ

最初のコメントを投稿しよう!