僕の純情に、デリケートな愛を

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……キスは、初めてじゃない。 中学生のときに初彼ができて、そのあとも何人かと付き合った。 でも、こんなに甘くてドキドキするキスは今までになくてーー 「……っ」 宏太の舌が私の心まで掻き乱す。 深くなったキスは私の吐息までも絡め取る。 「かんな……」 どうしてだろう? 宏太の声が、切なく掠れてる……。 そんなの反則だよ。 頭の中がぐちゃぐちゃになって、背中がぞくぞくして…… もっと宏太が欲しくなる……。 息をすることすら忘れて、お互いの唇に夢中になった。 「……あのさ……こう見えても俺、すごい純情だから」 宏太がコツンとおでこをくっつけてくる。 ーーえ? 「俺今、めちゃくちゃ緊張してんの……わかる?」 「な、なにそれ、嘘……」 「……もっかい」 言葉は再びの唇に奪われた。 「! こ……宏太……っ、もぉ……」 これ以上キスされたら、私…… ドキドキで身体がおかしくなる…… こんな私、変だよ。 「……ね、ウチ来る?」 耳元の囁き。 「……え?」 「ここじゃこれ以上できないから……」 「!」 その意味を理解して、一気に赤面した。 「こ、宏太……っ、それはちょっ……」 嫌じゃない。 嫌じゃないから困るんだよ。 「かんなとシたい」 「!」 宏太の私を見る目が、余裕を無くして熱を帯びてくる。 「悪い……も、ガマンできない……」 私の身体をきつく抱き締める。 宏太の熱が伝わってきて、身悶えながらも切なくなった。 「ダメだよ……そういうのは、好きな人とじゃなくちゃ。 宏太は私のことなんて」 好きじゃないくせに。
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