52人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
私が電車に乗り込む時、彼は既に進行方向3両目、2つ目の右扉横の手摺りにもたれ、涼しい顔で単行本に視線を落としている。
私は2駅位ですっかり揉みくちゃなのに、彼と来たら私が降りる駅までずっとポーカーフェイス。
ある日、彼がどんな本を読んでいるのか気になり、無理矢理人を押し退け減し分け彼の横まで進んだ。
気付かれないように、そっと本の背表紙を覗き込む。
一部手に隠されて見えないが、そこには確かに『一生死にませんように』の文字。
早速ネットで探してみると、それは私の興味とは程遠い場所にある本だった。
最初のコメントを投稿しよう!