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手を額付近に持っていき、綺麗な敬礼を作る。
二人は臨也の言ったことが理解できていなかった。意味不明。これがしっくりくる。
「なぁに固まってんの。俺の大人の魅力に圧倒されたか」
「・・・本当なんですか?」
「マジなんだなこれが」
「で、でも同じ学園で同じ教室だったんだよね? あ、もしかして・・・」
「留年じゃねーぞ。単純に年を偽ってたのさ!」
「えぇ・・・」
ふざけた口調で言い切る彼。いや、もはや彼が偽ったとかそんなのはどうでもいい。問題は・・・。シェリアだけが感じた問題は。
「あ、貴方が私よりも、ふ、二つも年上・・・?」
「今更俺の大人の色気に気づいたか・・・」
こんなちゃらんぽらんが自分よりも年上という事実。何か裏切られたような気分になり、少しだけ落ち込む。
「じゃあリンヤ君って学園に通えないんじゃ・・・」
「また年偽ればいいだろ。戸籍なんてないし平気平気」
もう勝手にしてくれ。そう思わずにいられない二人であった。
(そう、二十歳の俺は彼女いない歴=年齢。このまま時が過ぎればマジもんの魔法使いへと昇華してしまう。・・・あれ、結構焦ってきた)
「? 冷や汗が凄いですよ?」
「な、なな何でもない。大丈夫、大丈夫だよな・・・」
ブツブツとしきりに何かを呟く臨也。この世界の魔法使いと臨也の思う魔法使いは全くの別物なのだが。はて、この先彼の人生はどうなるのか。
と、ここで『グゴァ!?』とボルゼが跳ねた。どうやら大きな寝相のようで、それが拍子に起床した。
「んぁ・・・? おぉ、起きてたのかリンヤ」
「おはようオッサン。二人はもう来てるぞ」
「げ、本当か?」
臨也が指で示した先を追うと、確かに二人がいた。
「おはよう、ボルゼさん!」
「おはようございます」
「お、おはよう。格好悪いとこ見せちまったな・・・」
ボリボリと、固い髪の毛がある頭を掻く。ほわぁ、と一度大きなあくびをするとボルゼは立ち上がった。
「湖で顔洗ってくる」
「落ちんなよー」
臨也が適当に冗談を言うと、ボルゼは外へ出た。足取りはしっかりしているので酔いはなさそうな様子だ。
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