第2章

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「なに笑ってんの?」 「だって……池宮さんも若いのに、そんな言い方」 「まあね、でも大学二年生の俺から見たら、十分若いよ」 大きく伸びを一つした歩は、ソファに深くもたれかかった。 二人が座っているソファーは、来客用に設置してあるものだ。 しかし実際に使っている人を紗江は見たことが無かった。 多くの人は、ロビーなんかに座る間もなく、部屋へと導かれていくに違いなかったのだから。 もちろん紗江も、ここに座るのは初めて。 二人が座ってから通る人はいなかったが、こんなところに座っているのを見られたら、なんと思われるのだろうかと急に不安になった。 間違いなく、早く部屋へ連れていけばいいのにと、不思議そうな目で見られることだろう。 けれども、歩を部屋へ連れていくわけにもいかないではないか。 そうこうしているうちに、自動ドアが開くのが分かった。 同時に、ハイヒールの音を響かせて女がロビーに入ってくる。 そして二人の隣をチラリと見て、当然のことながら通りすぎていく……はずだったのだが、不意に足を止めて言った。 「歩?」
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