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「よう」
ごく自然に二人の視線が重なる。
紗江は女の顔を見つめて、ごくりと息をのんだ。
今まで見た中で一番と言ってしまいたくなるほど、美しい女だ。
明るい茶色に染めた髪は綺麗にカールされて肩にかかり、彼女が体を揺らすたびに弾むように跳ね上がった。
「なにしてるの、こんなところで」
「まあ、ちょっと……」
歩は、じっと女に目を向けていたが、それをなんとか引きはがして紗江に向けると
「この子と、話してたんだ」
その時になって初めて女は紗江の存在に気が付いたようだった。
まるでいないように扱われていた紗江は、話題に出されて慌てて姿勢を正す。
「誰?」
「本橋紗江ちゃん」
紗江は頭を下げたが、女はただ紗江を見つめているだけだった。
その表情は、凍り付いたように何も読み取ることができないもので、紗江を当惑させた。
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