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そう、局長がこの作戦を知れば、反対されることは明らかだった。
目の前の利益や障害よりも、仲間を大切にされる方だ。
壁に立ち向かうためとはいえ、誰かが犠牲になるようなやり方をするならば、戦わずして敗北を選ぶだろう。
そんな人だからこそ、新撰組の隊士達はあの方に忠実に尽くす。
俺が死ぬ間際に押すことによって、発動する切り札。
ミラの能力。Balloon explosion(artistic mode)
戦争が始まる前、偵察がてら二人で荒野に降り立った時、ミラは灰色の髪をなびかせながら、懐からリモコンを取り出し説明をしてくれた。
『いいですか?このスイッチを押せば、私が仕掛けた能力が作動します。起爆するのには5M以内でなければいけない条件の代わりに、威力は最大級。起爆した本人は、間違いなくその距離なら吹き飛ぶでしょう』
淡々と話すミラ。
俺がリモコンを受けとると、ミラは視線を逸らしながら言葉を放った。
『出来れば、使わないで下さい』
少しだけ瞳が揺らいでるような気がした。
そして、今。
ダミーとして作られた局長が動き出す。
ああ。良かった。何とかスイッチは押せたぞ。
視界は一気に闇によって閉ざされた。
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