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「でもね…… あの泣いてばっかりだった隣の家の甘えん坊真也も、 今は学校から帰ってくると、 ランドセル玄関に投げ捨てて遊びに行くって 真也ママ、愚痴ってる。 普通そうなるんだよ」 「トオル、幼いのかな?成長、遅いとか……」 「本当にそう思う?」 聡は首を振って 答えた。 「いや……むしろ大人」 「でしょ? 学校から帰ってきたら、ずっと家にいて本読んでる」 つまみも食べ尽くした聡が、 キッチンからスナック菓子を持ってきて、皿に開けた。 「勉強全然してないけど成績抜群にいいしね。 まだ一年だから、この先どうなるかわかんないけど、天才」 「でさ……何、話してるんだ?」 「何が?」 「だからさ、部屋でだよ」 瑞穂はまた親指と中指を合わせて 爪をパチパチと鳴らしながら答えた。 「うん…… いつもそうなんだけど、 トオルの部屋の前に私が立つと ピタッと話すのやめちゃうの。 だから今日は 話声、聞こえてたけど ベランダにずっといたの。 ベランダからだとね あんまり声聞こえないんだけど 【心配しなくて大丈夫】 とか、 【僕が助けてあげる!】 みたいな事、言ってる」 「相手の声、聞こえるの?」 「はっきり聞こえないんだけど もごもごした低い声。 何言ってるかまで、 わかんないんだけど 明らかに、トオルの声じゃない。 しかも、会話してる感じなんだよね」 瑞穂はソファーによりかかって タオルケットを羽織って全身に巻いた。 「なんか怖くて……」
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