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夏子はクールな外見とは裏腹に人当たりも良く、ユーモアも理解していた。
確かに育ちも良いのだろう。
俺は女を人に紹介する時、あれやこれやと世話を焼く事はしない。
最低限の情報だけ与えて放置。
そうして女のコミュニケーション能力を計っている。
俺がいなければ相手との関係を築けないような女に用はない。
その日のうちにサヨウナラ。
俺は昔から女に惚れて付き合ったという経験がない。
常に彼女はいたし、平行して体だけの関係の女もいた。
女に惚れない俺が付き合うのは、決まって回りがチヤホヤするような、いわゆるイイ女だった。
(お前らには無理だろ?
俺が落としてやるよ……)
ゲーム感覚で女を口説き、アクセサリー代わりに女を連れ歩いた。
夏子もそんな女の一人になるはずだった。
適当に遊び、飽きたら捨てる。
幸いな事に東京という街はイイ女を大量生産してくれる。
替わりはいくらでもいた。
しかし夏子はこの日、良い意味で俺の想像を次々と裏切っていく……
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