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「そっか。仲直りできるといいね。」
「はい!」
珍しく気の利いたことが言えたのは、相手が自分よりも幾分か年下の女の子だったからか。
それとも、彼女がもたらしていた温かい空気のせいなのか。
俺の言葉に明るい返事をして、その女の子は深くお辞儀をして店をあとにした。
それから数分と経たないうちに、エプロン姿の母さんが登場する。
いかにも夕飯の準備をしていました的な雰囲気を出しながら。
「あら、お客さん来ていたの?」
「あ、うん。」
「あらあら、もしかして完売しちゃったの!?」
「……まあね。」
空になったショーケースを見て、嬉しそうな声を上げる。
あまりに喜ぶものだから、本当は4つ残っていたけれど、その事実は伏せておいた。
ケーキが完売するなんて、クリスマスでもない限り有り得ない話だから。
「今夜はお祝いね、すき焼きにしなくちゃ!」
そう言って母さんは、浮き立つ足取りで裏へと戻っていく。
そして俺も早々に片付けを終えて、明日の準備がてら厨房へと戻った。
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