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「しないのかよ！」
くわぁ！
目を丸くして大きな声を出す小さな獣。
絵本に出てくるタヌキやアライグマのような輪郭につぶらな瞳。
洋ナシのような下膨れの薄い黄色の毛玉。
そこから手と足がちょこちょこと出ている。
背には翼。光沢のある葉のような黄緑。
要するに、おかしな色彩の太ったコウモリだ。
「なんか不本意なことを言われてるみたいにムズムズする……」
挙動不審なコウモリに綺麗な声が呼びかける。
「どうしましたか？フルティ」
スカートの広がった水色のドレス。手には杖。
ピンクのお菓子のような長い髪。そして王冠。
綺麗な白い顔に紅が色っぽい大人の女性。
「いえ、なんだか夢を見ていたみたいで……」
「それは大変！あなたまさか……」
「大丈夫です！ボクは正常です！」
安心。そして、ため息。
二人は宮殿の塔の上から庭園を見た。
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