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「アドリアン、か……どこの精霊王だろう」
アンジェラスが、考えこむような表情で長い睫を伏せた。
「わからないわ。でも、早急に始末しなければ厄介だわ」
冷やかな仮面をつけて、シャルディアラはついと窓の外に視線を投げた。
「昨夜のうちに、諜報騎士団には報告済みです。既に諜報騎士団が各地に散らばっています。素性が割れるのも時間の問題でしょう」
鋭く表情を引き締めて、レイチェルが口をはさんだ。
「……だといいけど」
レイチェルに冷たい横顔を見せて、アンジェラスは軽く肩をすくめた。
それからふっと息をついて、独り言のようにつぶやく。
「いずれわかることだ。素性が知れたらすぐに始末してやる」
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