帰還と改革

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 防衛戦が終わり、それぞれが慌しく動き回っていた。リリィを筆頭として編制した医療班は怪我人の治療にあたっている。ブラスト、レオン、ヴァッサーの三人はそれぞれの部族の面々と今後について改めて話し合いを行っている。俺、レミさん、カルト、シリスさん、ケルトさんの五人は奇襲部隊として派遣した兄貴達の応援に行くかどうかを話し合っていた。 「このまま何もしないと言うのは」 「デコレンディーネ隊を使って偵察しに行くと言うのはどうでしょうか?戦闘中であればそのまま加わって貰えばいいですし」 「デコレンディーネ達はあくまで偵察部隊だ。そのまま戦闘にくわわるのは難しいだろ」  主に意見を出すのはレミさんとカルトの二人。それに対して俺が答える。二人の意見を纏めるとサーパン討伐に向かった兄貴達への応援を出したいという事だ。ケルトさんとシリスさんはあまり口を出してこない。それぞれ負い目のような物を感じている二人だからだろう。本当ならこの場にもいるべきではないと思っているに違いない。 「では魁さんはこの後どうするべきだと?」 「サーパンについては兄貴達に一任したんだ。これ以上なにかする必要はないと思う。もしかしたらもう終わってるかも知れないしな」 「不謹慎かも知れませんが万が一仁さん達が倒されてしまった場合はどうするおつもりですか?再び力を蓄え、襲ってくるかも知れませんよ?」 「その時はまた街を守る事に注力すればいい。こっちから行動を起こす事はしない」  どれだけ二人の意見を聞いても俺の考えは変わらなかった。
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