見初め祭

3/8
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
 何故突然そんな事を思い出したのか……。 「逢初(アイゾメ)神社」  私がそう呟くと、 「へぇ、コレってそう読むんだ」 と、彼が言った。 「そう言えば、うちの地元にも同じ名前の神社、あったな」  今度は彼女がそう言って朱い鳥居を見上げた。 「どこにでもあるのかな?俺んちの近所にもあった気がする」  彼はそう言うと、鳥居をくぐり石段をトントンと軽快に駆け上がる。 「無理すんなよ。コケるぞっ」  もう一人の彼がそう叫んだ時、突然蝉の鳴き声が五月蝿い程大きくなった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!