第1話「ツツジ」

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
どこからか聞こえてくる鳥のさえずり。 カーテンの隙間から射し込む光。 「‥‥んぁ‥朝…?」 私は上半身を起こして、窓の外を眺めた。 青い空と新鮮な若葉の香りが、春の訪れを感じさせてくれる。 私は一つ欠伸をすると、頬を両手で軽く叩いた。 「今日から小学校3学年の始まりだ!気合いいれてくぞーーーー!!」 私が大きな声でそう宣言すると、部屋の外からドタバタと階段を駆け上がってくる音がして。 しばらく扉の方を見つめていると、勢いよくドアが開き、慌てた様子の母が部屋に入ってきた。 「あんたっ!今何時だと思ってるの!!」 母が怒鳴りながら言ってくるものだから、私は不思議でしょうがなかった。 だってーー 「鳥さんの声が起こしてくれたから、朝だよ!」 私が窓の外を指差しながら、あんまり自慢気に言うもんだから。 母は呆れかえった様子で、私の部屋にある時計を指差して言った。 「…もぅ、お昼前よ。」 時計を確認すると、針は11時半を指していた。 私は空に向かって「これは鳥さんのせいだよ!鳥さんがちゃんと朝に起こしてくれないからだっ!」と言うと。 「鳥のせいにしてる人があったら…。さっさと学校行く用意しなさいっ!バカ娘ぇぇっ!!!!」と、母は今にも角と牙が生えてきそうな勢いで言った。 命が惜しいので、私は素早く用意をすることにした。 ___……
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!