第7話

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《影》 ビッグカラオケに行き7月3日に自殺した9人がここに来たのか。カウンターで名簿を確認したり、店員に彼女たちの様子を聞いたりしてみた。 確かに7月3日PM5:00に彼女たちはここに来ていた。しかも自殺した9人と同じ人数が記録されていた。店員も当日の事をはっきり憶えており、「9人の団体でしたので大部屋に案内いたしました。」と言っていた。 「その大部屋に遅れて一人女性徒が来ませんでしたか?」と、輪島は唯の事を聞いた。「ええ、来ました私服のだったので女性徒と言う認識はありませんでしたが、その人も大部屋に案内しましたが、すぐ逃げるようにして帰って行きました。」 「逃げるように?…9人は歌っていましたか?」と言う質問に対しては。通りかかった女性店員を呼びとめ、「君確かこの日の夕方5時に来た9人の団体にドリンクやスナックを運んでいたよね、どんな様子だったかこちらの刑事さんに話してくれないか。」 「全く変わった様子はなかったです。ただ一人分席を空けて座っていたのが奇妙に感じましたけど…。」「それはずーと最後まですか。」 「はい。」 「私が遅れてきた女の子を案内した時その女の子がすぐに部屋を出たので、また戻ってくるからだろうと思っていましたが。そう言えば、後から来た子が入ってきたのにその子の方を見もしなかったし、突然部屋を出て行ったのに、誰も止めようとしたり、声を掛ける子がいなかったのは変やったな。」 それもおかしい、まるで唯を無視しているようにも思える。 「防犯カメラの記録は残っていますか?」輪島は店員に尋ねた。 「はい。」 「貸していただけますか?」 店員は快く貸してくれた。その事が唯一の収穫だった。
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