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[第1話] おでかけ!
「出たいですっ!!」
始業式が終わって1ヶ月が過ぎ、世間は【ゴールデンウイーク】と言うことで浮かれていた。
そんなゴールデンウイークの1日目、ちょうど午後12時を時計が知らせてくれると同時に、ちゃぶ台を挟んだ向こう側から声が聞こえた。
僕は読んでいた小説から視線を外し、女の子と僕の間に置かれているちゃぶ台を経由して、目の前の女の子を視界に入れた。
その姿は、これでもかと両の拳を握りしめプルプルと震えている。
目には、炎が出そうな程に力がこもっていて、見ているこちらが圧倒されそうなくらい、力に満ち溢れていた。
僕は目の前の女の子が何を言いたいのか、直ぐに解った。
何故かって?
そりゃ、僕と彼女の付き合いは決して長い方じゃないけど、そんなもの関係ないくらいに通じ合っているからだ!
言葉を続けないのは、伝わっているでしょう?という彼女なりのサインというわけさ。
僕は、手にしていた小説をそっとちゃぶ台に伏せ、窓から降り注ぐ暖かい日差しを体に浴びながら柔らかい笑みを浮かべながら、口を開いた。
「トイレなら、早めに行っておいでっ!
漏れてしまうま゛っ?!?!」
思いっきり、殴られました。
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