北京

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結局、その日の冒険は大学をウロウロする事にした。 自転車で走る中国人や、カップルや、色々な髪の色を見た。 貼り紙を見てノートに書いた。 普通の大学自体、あまり行ったことないので日本の大学とどう違うのか判らなかった。 自己紹介が苦手だった。 十七歳という発音が上手く出来なかったから。十八歳、と言ったこともある。 大して変わらないだろうと。 でも、留学生仲間に十八と言ったら大学名を聞かれることが増えたので。 必要なときには、高校生と言った。 それ以上を聞く人と、気を使って聞いてこない人と、半々だ。 皆が大人に見えた。 「みーるー?」 女の人に声を掛けられた。 「みーるーら........?」 ああ。 『迷ったの?』 迷ったというか、もともとどこも目指してないけれど。 留学生の楼ではなく、普通の中国人学生の居る方に踏み込んでいたらしい。 地図を広げて、今の位置を聞いた。 「現在....」 彼女の指が地図に舞う。 そっか、現在って、「現」に「在る」なんだな。 ここに居るんだ、私。
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