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「もう、出よう」
「ヤダ。俺はきちんとエンドロールまで見たい。この作品にはこんなに作った人がいるんだぞ。」
彼はいつもエンドロールが終わって劇場のあかりが灯されるまで席から動かない。
エンドロールが終わった後もその余韻に浸りたいからとしばらく動かない時もある。
「へんなの。別にいいじゃん。私は先に出てる」
立ち上がりかけたその時
「ダメ。今日くらいは座ってて」
初めて彼が私の手を握りしめた。
私よりも年上の彼の手は
こんなに大きいんだ。
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