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「な、なんだこれ……」
冷たい感触を不意に顔面に感じ、目を覚ました俺は思わず立ち上がった。
なぜか知らないが、俺の通う大学の最寄り駅に近い、片側三車線の大きな交差点のど真ん中でうつ伏せになっていたんだ。
しかも、今日みたいな平日の昼間でも賑わっているはずのこの交差点の周囲を見渡しても、全く動くものの気配はなかった。
これら二つだけでも十分不可解な現象だが、まあいい、俺が本当に驚いたのはそんなことじゃない。
視界がモノクロなんだ。
ショーウインドウから見えるマネキンも、見上げた信号も、空も、全てが白と黒で表現されていた。
そう、ちょうど小さな頃やった初代ゲームボーイの画面を見ているように。
それが、リアルに、三次元で、俺の景色を形作っていた。
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