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そのまま画面に釘付けになってしまう。
その人は緊張した面持ちで1人、道で佇んでいる。
緩く巻いた長い髪に桜の花びらがついているのに気づいていないのか、それを取る気配もない。
それがさらに彼女を色付けて、緊張のせいか桜色に火照った頬も愛くるしさを漂わせていた。
_____本物の華を見つけた。
そう思うには充分だった。
想うより早く彼女の方に向かって行く足に、自分でもこの行動力に驚く。
「なぁ、アンタもしかして本店に向かってんの?俺と同じ研修組?」
突然、声をかけられて驚き目を丸くする彼女の顔を見て、自然に笑みがこぼれる。
「そ、そう……あなたも?」
鳥のさえずりのように小さく答えた彼女の声を聞き、俺は瞬時に恋に落ちた。
そんな経験をしたのは2年前のこの日。
俺は今もこの想いを胸に秘めたまま、コイツにずっと恋をしている。
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