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灰色に染められた空の下、雲よりも白い光が交差する。
それと共に、金属の擦れる音が響き、そして弾けた。
しんしんと雪が降り、そして足元にも雪は深く積もっていた。
その雪を振り払うかのように、激しく振るわれて交わるは二振りの剣。
互いに、毛皮や布を幾重にも重ねて、細い布で体を巻いているという風変わりな格好をしていたが、それはこの地においては一般的なものだった。
肌は剣の切っ先の擦ったところから、命がここにあるのだと言わんばかりに、したたる赤い雫が雪を染めた。
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