情けない男

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駅から続くメインストリートから少し逸れるだけで、街の雰囲気が一変して華やかさが遠退く。 特に、地元の人間のみが知る裏道を通っているとなれば、変化もより顕著になる。 その近道を使っている事さえ、速度を緩めるに足る理由には成り得ない。 一刻も早く、目的地に辿り着く必要があった。 オフィスビルが所狭しと立ち並ぶ先で、急に空を遮る物が無くなる場所がある。 僅かながらに緑が植えられた自然公園という名の、都会生活に疲れた人々の憩いの場だ。 規則正しく並ぶ木々や、造形美を追求した水路では自然など感じられるべくもないが、その程度でさえ都会では癒しとなる。 だが、息抜きの為に利用されるべき公園に、息切れしながら駆け込む俺こそ、街の植物より異質な存在に違いない。 街中で唯一とも言える自然地区でさえ、人工物による浸食は免れない。 ことクリスマスともなると、例え植物でもイルミネーションやライトアップといった装飾で着飾るのが都会という場所だ。 自然と触れ合う場という根本の意味を違えた行為が、利用者を獲得する手段として一役も二役も買っている。 現に公園には、カップリングを済ませた男女が、憩いではなく潤いを求めて集まっていた。
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