第八十一話 白銀の楽園

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彼は両手で持っていた杖を真っすぐ前に構えた。 「聞け!我が名はファリオール・カルキノス!光の人魚族、メロウの族長の息子だ!これより、人の冒険者と共に戦闘に加勢する!」 彼の叫びを聞いたストーグ達の表情が輝いた。 「ファリオール!」 「生きていたのか!?」 「そんな!……」 「良くぞ……ご無事で……」 メルリアも笑顔になっていた。 「ファリ兄様!」 海上に顔を出して泳いでいた人魚の魔道士がストーグに近寄った。 「ストーグ様!島が!黄金の島が、この先に見えます!」 マーメイドの彼女が見たのは朝日に照らされた妖精の島、アヴァロン島だった。 ストーグはすぐにメルリアの予言を思い出した。 「我らの最後の希望……黄金の島……来たるか……予言の通り……」 ファリオールは杖の先端に水の球体を生み出すと、叫んだ。 「全員海上へ向かえ!」 一斉に光の人魚達は海上へ向かって浮上していく。 仲間が海上へ向かう中、ファリオールは彼らの後ろにいる氷の集団を見ていた。 「……何だ……あれは……見た事が無い……だが……」 彼はすぐに魔法を放つ事に決めた。 「―――ウォーターランス!」 杖の先にある海水が球体になり、急速に大きく膨らんでいく。 「行け!」 球体が前へ伸び、凄まじい勢いで前に撃ち出された。 水流が周囲に生まれ、浮上していく人魚達の一部が巻き込まれそうになったが、何とか上に向かえた。 「凄い水の流れだ!」 「危なかった……」 「ギリギリだよ……」 そしてファリオールの撃ち出した水の槍は、先端鋭い水流になって氷のトゲ達を巻き込んでいく。 トゲ同士がぶつかり合って、いくつかが破壊されていく。 ファリオールはその様子を見ていた。 「よし……破壊出来ている!」 右の側面からローレライ達がやって来ていたが、そこに向かってストーグと魔道士達が一斉に渦の魔法を放った。 「―――スワーリング・ウォーター!」 右側からやって来ていたローレライの集団に当たり、彼らは水流に飲まれ、後方へ下がった。 「よし!」 ストーグは喜んだが、今度は左側の骨サメに乗った集団が再び突入して来そうだった。 それを見たファリオールは、次の魔法の準備に入る事にした。 「くそう……思った以上の数だ……」
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