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彼は両手で持っていた杖を真っすぐ前に構えた。
「聞け!我が名はファリオール・カルキノス!光の人魚族、メロウの族長の息子だ!これより、人の冒険者と共に戦闘に加勢する!」
彼の叫びを聞いたストーグ達の表情が輝いた。
「ファリオール!」
「生きていたのか!?」
「そんな!……」
「良くぞ……ご無事で……」
メルリアも笑顔になっていた。
「ファリ兄様!」
海上に顔を出して泳いでいた人魚の魔道士がストーグに近寄った。
「ストーグ様!島が!黄金の島が、この先に見えます!」
マーメイドの彼女が見たのは朝日に照らされた妖精の島、アヴァロン島だった。
ストーグはすぐにメルリアの予言を思い出した。
「我らの最後の希望……黄金の島……来たるか……予言の通り……」
ファリオールは杖の先端に水の球体を生み出すと、叫んだ。
「全員海上へ向かえ!」
一斉に光の人魚達は海上へ向かって浮上していく。
仲間が海上へ向かう中、ファリオールは彼らの後ろにいる氷の集団を見ていた。
「……何だ……あれは……見た事が無い……だが……」
彼はすぐに魔法を放つ事に決めた。
「―――ウォーターランス!」
杖の先にある海水が球体になり、急速に大きく膨らんでいく。
「行け!」
球体が前へ伸び、凄まじい勢いで前に撃ち出された。
水流が周囲に生まれ、浮上していく人魚達の一部が巻き込まれそうになったが、何とか上に向かえた。
「凄い水の流れだ!」
「危なかった……」
「ギリギリだよ……」
そしてファリオールの撃ち出した水の槍は、先端鋭い水流になって氷のトゲ達を巻き込んでいく。
トゲ同士がぶつかり合って、いくつかが破壊されていく。
ファリオールはその様子を見ていた。
「よし……破壊出来ている!」
右の側面からローレライ達がやって来ていたが、そこに向かってストーグと魔道士達が一斉に渦の魔法を放った。
「―――スワーリング・ウォーター!」
右側からやって来ていたローレライの集団に当たり、彼らは水流に飲まれ、後方へ下がった。
「よし!」
ストーグは喜んだが、今度は左側の骨サメに乗った集団が再び突入して来そうだった。
それを見たファリオールは、次の魔法の準備に入る事にした。
「くそう……思った以上の数だ……」
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